中学校のはだし教育

「はだし教育」といえば一般的に小学校での実施例が多かったと思うのですが、一部の中学校でもはだし教育が行われていた時期がありました。ここでは、そんな中学校でのはだし教育実施状況について、文献等により調査した結果を紹介したいと思います。
なお、会津若松市立第六中学校浜松市立北星中学校和木町立和木中学校岩国市立平田中学校今治市立玉川中学校佐伯市立彦陽中学校についてはそれぞれ別のページに掲載しています。

1.仙北市立角館中学校

2005年(平成17年)から「はだしの清掃」に取り組んでいたようで、その様子が学校通信に紹介されていましたので以下にその内容を引用したいと思います。なお、2019年(令和元年)以降の学校通信には「はだしの清掃」の記載がないことから、現在は行われていないものと思います。
◆平成30年6月7日号◆
平成17年度から始まった裸足の清掃は、生徒会活動の一環として継続して行っています。「足裏で汚れやゴミを感じ取る」「裸足になることで掃除へ気持を切り換える」「裸足の清掃を通して健康増進を図る」。この3点を目的にして行われているこの活動は、平成18年の中等教育資料(文部科学省発行)で、特色ある教育活動として取り上げられ、全国に紹介されました。今年も、この活動の意義を再確認しながら、全校生徒で取り組んでいます。

◆平成26年6月16日号◆
「裸足になることで清掃への気持ちを切り替える」「裸足の清掃を通して健康増進を図る」「足裏で汚れやゴミを感じとる」ことを目的に、本校では裸足の清掃活動が継続されてきました。
今年も、衣替え完全実施一週間後の9日(月)から始まりました。裸足の清掃で、校舎を磨き、自分の心を磨き、他の人の心を清々しくしてほしいと願っています。

◆平成25年6月11日号◆
「裸足になることで清掃への気持ちを切り替える」「裸足の清掃を通して健康増進を図る」「足裏で汚れやゴミを感じとる」ことを目的に、本校では「裸足の清掃活動」が継続されてきました。
今年も、昨日(10日)から始まりました。水拭き等に真剣に取り組み「体力」を、みんなで協力して取り組み「心力」をしっかりと鍛えてほしいと思います。

2.松戸市立旭町中学校

開校当初、はだしの清掃に取り組んでいたとの記述がmixiにありましたので以下に引用します。 asi asi asi

3.長生村立長生中学校(千葉県)

全校体育の時間にはだしを取り入れていたことが「千葉教育(1983年6月号)」に記載されていましたので以下に内容を抜粋します。
学校生活の中でより多くの運動、体力づくりのための運動場面を与えようと考え、学校裁量の時間のうちから週一時間「全校体育」の時間を設定した。
(中略)
実施にあたってははだしで行い、準備運動にはジャズダンスを取り入れ、全職員、生徒による手作りのトレーニングコースを使って実施した。施設には、踏み台昇降、けんけんタイヤ、上体そらし台、平行棒、なまけもの、のぼり棒、タイヤとび、雲てい、ジャンプ台、平均台、ボール投げ、鉄棒、リンボー等が用意され、学年ごとのローテーションの中で生徒が個々の目標(計画)にしたがって、実施された。

4.大佐町立大井野中学校

この学校は何も履かない裸足、ということではないのですが「ワラぞうり履きを実践していた」ということで紹介したいと思います。出典は「総合教育技術(1992年11月号)」です。
大佐町立大井野中学校では、教職員も生徒も自作のワラぞうりを履いて学校生活を送っている。
昨年、郷土学習で地域のお年寄りからワラぞうり作りを教えてもらったのがきっかけ。ワラぞうりの効用を知るには、校内で履いてみようということになった。六月下旬から毎日、体育授業や校舎外に出るとき以外は、教職員も生徒もぞうり履き。ぞうりは親指などに力が入り、足裏の筋肉も使うので、へん平足を治す効果も出るのではないかという。

5.広島市立楠那中学校

はだし教育の実施状況が「文部時報(1986年3月号)」に記載されていましたので以下に内容を抜粋します。
(前略)
詳しく述べるゆとりも無いが、この外に生徒の行う「石の日」というのもある。本校では「はだし運動」も奨励しているところから運動場の小石を拾って、状態を良くしたい、という訳で毎月一四日を石の日にして、全員で石拾いをするのである。

6.岩国市立北河内中学校

はだし運動の実施状況が「学校経営(1982年5月号)」に記載されていましたので以下に内容を抜粋します。
〇はだし運動―夏期の時程表における昼食後の時間に、健康づくり、集中力の養成、抵抗に挑む意欲を高めることを目指して、はだし運動を展開した。教師も生徒と一緒にはだし運動に参加し、教室の師弟関係でなく、遊びを通じてのソフトな人間関係ができたのは、予想しなかった成果である。

また、同書にはこの文章のほか、「教師も生徒も一緒にはだし運動」というタイトルで、校庭ではだしのままバレーボールをしている女子生徒と教員の様子も写真で掲載されています。画像は不鮮明なのですが、以下に紹介します。 asi

7.萩市立三見中学校

山口県教育庁発行の「教育だより(昭和57年10月10日)」に、以下の記述がみられます。
本校では、4年前から夏期は素足での生活、冬期は5km完走の耐寒訓練を実施しています。
いずれも、"たくましさ"と"根性"を持つ基礎体力の向上がねらいです。
炎天下での素足の体操、また寒風や降雪にもめげず抜きつ抜かれつ額に汗する「師弟同行」の力走マラソン。最近では風邪ひきや、虚弱生徒も姿を消し、学園ははちきれる若さとさわやかさがいっぱいの毎日です。

8.美祢市立於福中学校

「教育だより(昭和58年1月1日)」に、以下の記述がみられます。
◎活動力をもった情操豊かな生徒の育成
(中略)
体力づくり(生活リズムの確立、体力づくりトレーニング、はだし運動)

また、「教育研究年報(昭和57年度)」には、以下の記述がみられます。
ウ 体力づくり
・はだしで運動する。

上記の記述からは詳細は不明ですが、なんらかの形ではだし運動が展開されていたものと思われます。

9.錦町立錦中学校(山口県)

「教育研究年報(昭和56年度)」に、以下の記述がみられます。
(1)薄着と素足運動
厳しい冬の寒さに負けない強い体力つくりのための薄着の励行、健康な体の成長を目的とする素足運動
特に素足運動は従来からグランドでは全員が行っており、3年前からは全校生徒が素足で運動会を実施
現在、約2割の生徒が通年素足で生活。

また、同書には生徒が裸足のままタイヤ飛びをしていると思われる画像(下図)も紹介されています。 asi

6.から9.の4校はいずれも山口県内の中学校で、この他に別ページに掲載の岩国市立平田中学校和木町立和木中学校の事例も含め、同県では「はだし運動」が活発に行われていたようです。
その理由として考えられるのが、1978年4月より開始された、「たくましい防長っ子を育てましょう」という県下挙げてのキャンペーンであると思われます。

そのことを示すものとして、「教育だより(昭和58年7月10日)」に、「学校教育における実践活動の留意点」と題して、以下の記述があります。
「学校や家庭で実践するように」と児童生徒に呼びかけていること
薄着・裸足
小学校 73.0%
中学校 10.4%
(全校中の割合%)

小学校での薄着・裸足推奨率73.0%というのも高いですが、他県ではほとんど見られない、中学校での薄着・裸足が10.4%に上るという点も注目すべき数値だと思います(薄着・裸足の合算なので、それらのすべてで「はだし運動」が展開されていたわけでは無いのかも知れませんが)。
ちなみに、同時期の山口県内の公立中学校数は194校ほどであったようなので、この10.4%とすると、薄着・裸足実施の中学校は20校という計算になります。

10.長洲町立長洲中学校(熊本県)

はだし教育の実施状況が「中等教育資料(1981年12月号)」に記載されていましたので以下に内容を抜粋します。
全校体育
「可能性にいどむ」という校訓にのっとり、自己の限界にのぞむ精神力、体力づくりを目的とした本校の全校体育は、8年の歴史を持つが、本年度からは更に一歩進めて、生徒はもちろん教師も全員はだしで実施している。
これは、毎週1回、学校裁量の時間の一つを利用し、実施しているのであるが、ジョギングと9種目のサーキットを組み合わせたものである。
これらの種目に「より高く、より速く」という自己の可能性にいどませるそのために、全校体育ステップを作成し活用している。
はだしによる全校体育の効果の科学的データは、始めてまだ月日が浅いので持ち合わせていないが、ただ、今まではだしになった経験のない子供や、少ない子供が多いだけに、最初は、はだしになるのをこわがったり、いやがったりしていたが、最近ではその抵抗もほとんど見られず、かえって足のぬくもりやはだしになることの気持ち良さを訴える子供が増えてきたことははっきり言える。
また、この全校体育は、全職員が生徒とともに行動しているので、生徒と教師のスキンシップの場にもなっている。

岩国市立北河内中学校の項でも述べられていますが、中学校におけるはだし教育の場合、体力づくり、健康づくりといった物理的なメリットもさることながら、ともするとお互い疎遠になりがちな思春期の生徒と大人の教員の精神的な関係強化、といった部分のメリットも大きかったことがうかがえます。

11.その他の学校

「中等教育資料(1986年4月号)」で、熊本県八代市立第四中学校の紹介があり、その中に「素足の生活に取り組んで」の記述がありますが、詳細は不明です(ご存知の方がいらっしゃいましたら、下のメールフォームから情報お寄せいただけると幸いです)。

また、学校名は不明ながら中学時代にはだし教育を受けた方のTwitterがいくつかありましたので以下に紹介しておきます。
はだし教育Twitter(その1)

中学んとき「はだし運動」つって全校生徒が真冬でも裸足にさせられて日々過ごしてたストレス。机の足とかにけっこう尖った金具がついてたりして、よくひっかけて痛かった。グランドも裸足で走る

— あきらさくらい (@AkrSakr) November 10, 2021

ああそうか、中学は「はだし運動」でしたのでいつも裸足でした。たしか高校では内履き履いてましたね

— あきらさくらい (@AkrSakr) July 11, 2021

中学でははだし運動で冬でも全員裸足でした

— あきらさくらい (@AkrSakr) April 2, 2021

中学のころはハダシ運動というのやってたんで私の記憶のなかの女子生徒はみな裸足を振り上げ振り上げマイムマイムをおどっている

— あきらさくらい (@AkrSakr) May 17, 2020

はだし教育Twitter(その2)

@k_akino 欧米かっ!とツッコミそうにw自分の中学校は校内では裸足でしたよw「裸足運動」と言う校内美化目的の変な規則でしたw冬場のみ上靴OKでしたけど2割くらいの生徒は裸足のままでしたねぇ・・・。

— ロン😇 (@longlonghair) September 26, 2010

はだし教育Twitter(その3)

@bun2_1ha うちの中学校、裸足運動ってのがあって一定期間ずっと裸足で過ごすんだけど痛い思いしかしないし鍛えられないし真っ黒になって最悪だったなぁ。

— てつん▷▶🐙🐝🏹 (@tetuco123) May 14, 2015

裸足運動ってまだやってるのかな……

— てつん▷▶🐙🐝🏹 (@tetuco123) May 14, 2015

さらに、はだし教育が行われていたかどうか定かではないものの、それらしき記述がmixiの中に見られましたので以下に紹介します(詳細については継続調査予定です)。 asi asi

7.関連ページ

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2022年12月25日公開 2023年5月8日更新