浜松市立北星中学校

「はだし運動」といえば一般的に小学校での実施例が多かったと思うのですが、静岡県浜松市立北星中学校では、中学校としては珍しい「はだし運動」が実践されていました。「はだし運動」を実施していた当時の状況について、文献等により調査しましたのでその結果を紹介したいと思います。

はだし教育の実施状況が「総合教育技術(1988年2月号)」に記載されていましたので以下に内容を抜粋します。
昭和60・61年度、市教育委員会から「健康教育」研究校に指定され、「心身ともにすこやかな生徒の育成」を研究主題として取り組んでいる。その一環として、校舎内における"はだし"の生活を通して自律神経の活性化、足裏の筋力強化などをねらっている。

さらに、1988年発行の「北星中学校創立30周年記念誌」には、はだし教育の様子が詳細に書かれていますので、その内容を順番に紹介していきたいと思います。

まずは、はだし教育を開始することになった当時の先生のコメントです。
(前略)
こうした環境の改善とともに、「はだしの教育」が開始されました。足元を見つめ、床(大地)を素足で踏みしめ、冷たさにも耐え、足の裏に刺激を与える等々、心身共に健康であることへの願いをこめての教育でした。
(後略)

続いては1984年度卒業の女子生徒さんのコメントです。同文献の記述によると、はだし教育が開始されたのは1984年度からとなっていますので、彼女の場合3年生の一年間を裸足で過ごしたことになります。
(前略)
新しい校長先生が迎えられ、新しい試みが幾つかなされました。そんななかで、最も力が注がれたのが、「はだしの生活」でした。教室や廊下の床はきれいに張りかえられ、トイレは水洗となり、素足で生活していくうえでの障害はなくなりました。
(中略)
先日、北星中学校を訪れたとき、素足で元気よく歩き回っている生徒たちを見てとてもうれしく、また、懐かしく感じました。
(後略)

また、同記念誌には、1988年2月の中日新聞の記事も紹介されています。その表題は「寒さなんの はだしの生活」というもので、内容は以下の通りです。
浜松市初生町、北星中学校では四年前から「はだしの生活」を学校生活に取り入れている。真冬の今も二七%の生徒が素足で頑張っており、健康面にも効果が出てきた。
はだしの生活は校舎改装を機会に校内美化と足の裏の強化、我慢強さの養成をとの狙いで始まった。四―十一月は生徒も教師も全員、十二―三月は自主参加になっている。
(中略)
現在、素足で過ごしている生徒は一年生が四〇%でトップ、次いで三年生が二三%、二年生が一七%の順。
素足の生活について、二年生の●●香代さんは学校の健康作文で「はだしの生活はあかぎれができて、痛くてつらい。廊下は氷のように冷たい。何度も上靴をはこうと思う。でも、ここではいてしまったら自分に負けてしまうような気がする」と頑張っている。

ここからは浜松市教育委員会が1985年に発行した文集「はままつ(第28号)」に載せられた中学1年生女子生徒さんの投稿を掲載します。「はだしの生活から」というタイトルで、はだし教育の感想が克明に記されています。
はだしの生活から
●●純子
私の通っている学校、北星中学校では、はだしの生活をしています。前、兄が「はだしの生活をしているよ。」と言った時、まず私の頭に思い浮かんだことは、「きたない。」とか「画びょうが落ちたときふんだらいたいだろう。」ということではだしの生活をしたくなかったです。
四月、私は北星中学校に入学しました。校舎は、三つあり北側から新館、北校舎、南校舎という順序で並んでいました。私は、一年二組になったので新館の二階の教室に行きました。北校舎と南校舎は、新しくきれいにしたけれど、新館は前のままなので、旧館といったほうがよいくらいきたなかったです。こんな教室で一年間、はだしで生活することを考えると、とてもいやな気持になりました。教室に、ゴキブリがでたこともあったし、虫も時々わきましたので、家に帰ったらすぐ足をきれいに洗って、つくづくいやだと思う毎日で、その時は、はだしの生活の良い面など考えもしませんでした。
でも、悪いことしか思いつかないのに校長先生がはだしの生活を進めるわけがありません。校長先生は、校長先生なりに、良い面を見つけてはだしの生活をお進めなさったことでしょう。
そこで、私は考えてみました。良い面とは何なのかという疑問の答えを出し、少しでもはだしの生活に慣れるために。
何分か考えた末、ようやく私の意見がまとまりました。校長先生がおっしゃっていた「健康のため。」ということ以外も出ました。
一つは、今の子は、へんぺい足で、弱々しい感じの子が多いから、体力などを強め、自然で健康的になるため。
もう一つは、頭もさえてくるんじゃないかということです。
はだしの生活をすることによって、頭を回転させ、よく働かせて授業に取り組ませるようにすれば、きっと真剣で活気あふれたよい授業になるに違いありません。
こんなことから、校長先生はじめ、先生方、私達生徒は、はだしで毎日生活しています。
やっと、私は、はだしの生活の良さがわかり、またはだしの生活をする学校が、今増えつつあるわけもわかり、新たな考えを持てました。
なんだか、そう考えていったら、きたなさや、あまりこの生活をするのに感心しないという考えはうすれてきました。
入学してからもう三ヶ月、私はもうはだしの生活に慣れ、前のように、つま先で歩いたり、いやな感じをして歩かないようになりました。決してきたないという事が慣れ、何も感じなくなったわけではありません。きたないとは思うけれど、良い面もたくさんあるので、きたないという感じがしてもやわらげてくれるのです。足を動かすたびにつくごみ、このごみも、足をマッサージしてくれると考えればよいしごみがつくということは、ほこりが多いことなので、もっとそうじを念入りにやらなければという気持ちをわきおこさせてくれるきっかけにもなるのです。
これからも、良い面を思って、毎日はだしの生活に取り組みたいと思っています。

最後に、mixiの掲示板にもはだし教育に関する投稿がありましたので、以下に掲載します。 asi asi
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北星中学校のはだし教育に関する情報をお持ちの方は、以下のフォームよりその内容を教えていただけると幸いです。よろしくお願いいたします。


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2023年1月16日公開