わたしの名前は陽菜。中学2年生の女子です。
自慢じゃないけど、わたしの上履きはめちゃくちゃ汚いです。どのくらい汚いかというと、中敷きには足形どおりの汚れが真っ黒についていてとても女子のものとは思えないくらい。男子のものを入れてもその汚さはクラスのベスト3に入るくらいの汚れっぷりです。まあ、夏休みや春休みも部活とかがあって上履きを学校に置きっぱなしにしていて、2年間洗ったことがなかったから、一応は仕方ないと思うのですが、しかも、汚いだけじゃなくかなりクサい…
ふと、「こんな汚くてクサい上履き履いていたら足もクサくなって、全然健康に良さそうじゃないな」って思い、もう上履きを履くのはやめて、学校の中をハダシで過ごすことにしました。そういえば、この前見たテレビでも「ハダシで生活すると足裏が刺激されて健康になる」みたいなことを言っていましたし。
今朝、昇降口に着いたわたしは、いつものように通学用のスニ―カーを脱いで下駄箱に入れます。その下駄箱は2段になっていて、下の段にスニ―カーを入れてから、上の段の上履きを取りだして履くのだけど、ここからはいつものようじゃありません。上履きはそのままです。 それと、わたしの中学校は白い靴下が指定なのですが、上履きを履かずに靴下のまま校内を歩くと靴下の裏が汚れちゃいそうなので、靴下も脱いでさっきのスニ―カーの中に押し込みます。そうすると、もうわたしは正真正銘のハダシになってしまいました。ハダシのまま学校の中を歩いてもやっぱり足の裏が汚れそうですが、それは帰りに足の裏を洗えば良いだけですものね。
ちょうどその時、同じクラスの結衣ちゃんがやってきました。そして、ハダシのわたしを見るなり「あんた何やってんの!?」みたいに驚かれました。わたしが「ハダシって健康に良いんだよ」みたいに言うと、めちゃくちゃ笑われたけど、それ以上は何も言わずに、一緒に教室まで歩いていきました。
廊下を歩いていくと、途中ですれ違う子たちがわたしの足元をチラチラ見ていく視線を感じて少し恥ずかしい。休み明けとかに上履きを持ってくるのを忘れちゃった子が靴下のまま歩いていることはたまにあるけど、今日は休み明けでもないし、しかも靴下も履かずにハダシっていうのは今まで見たことありません。まあ、これから毎日ハダシなので、そのうち慣れるでしょう。
教室に入ると、中にいたクラスの子からも結衣ちゃんと同じようなことを聞かれました。わたしもやっぱり先ほどと同じように答えたりしているうちに、朝のホームルームのチャイムが鳴ったので席に座ります。自分の足の裏をちらっと見てみると、まだハダシになって15分くらいしか経っていないのに、もういくつかのゴミがくっついています。でも、そんなことをイチイチ気にしていても仕方ありません。まだ一日は始まったばかりだし、今日の授業が終わるころには、わたしの足の裏は学校中のゴミがへばりついて、もっともっと汚くなっているでしょうから。
担任の先生が来るのを待ちながら「帰るころにはわたしの足の裏がどれだけ汚くなるのかなー」って、ちょっと変なんだけど、なんかワクワクした気持ちになっていました。